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「ヴァンダナ・シヴァのいのちの種を抱きしめて」上映 &「循環するベランダ菜園」講座

2月7日に行われた 「種=いのち」 を中心にしたイベント、午前中は上映会、午後は講座とワークショップが開催されました。

上映会には50名、講座には40名ほどが参加され、会場はいっぱいだった。

科学者であり環境活動家でもあるヴァンダナ・シヴァ氏はパワフルに現代社会の課題を明確に説く。1時間という限られた時間の中で次から次へと提示される重要なテーマ。それは1度観ただけでは消化しきれないほどの濃い内容だ。

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インドの言葉でその要点を表すと

スワラージ:自由と自治

スワディ:自給と地産地消

サティヤグラハ:不正にNOという責任

これらはガンディー(マハトマ・ガンディー)の思想から来ている

ヴァンダナさんがナヴダーニャ農場内に設立した「種の学校(ビジャ・ビディヤピース)」では生物多様性、持続可能性、ガンディー思想など多岐にわたる講義やワークショップを行い、世界中から新しい生き方を求める人々が集まってくる。

そのナヴダーニャ運動で説いているのが

ビージ・スワラージ:種の自由

アンナ・スワラージ:食の自由

ブー・スワラージ:大地の自由

ジャル・スワラージ:水の自由

これらを独占しようともくろむ権力の脅しや暴力に屈せず、「私は従わない」と言うこと、サティヤグラハを推進している。

正にTPP推進の動向や翼賛体制が目立ってきた現在の日本で「サティヤグラハ」は耳の痛い話かもしれない。

エコフェミニズムシードバンク、グローバライゼーションからローカライゼーション、コモンズと分かち合いの経済、アース・デモクラシーへと、種から社会の、わたしたちの在り方へと話は深まっていく。

アース・デモクラシーの原則

  • あらゆる生物種、民族、文化はそれぞれ固有の価値を持っている。

  • 大地の共同体は、あらゆる生命にとって民主的である。

  • 自然および文化における多様性が保護されなければならない。

  • あらゆる生き物は、生命を持続させる権利を自然権として備えている。

  • アース・デモクラシーは、生命中心の経済および経済における民主主義に基礎を置く。

  • 生命中心の経済は、ローカルな経済を基盤として構築される。

  • アース・デモクラシーは、生命中心の民主主義である。

  • アース・デモクラシーは、生命中心の文化に基礎を置く。

  • 生命中心の文化は、生命を育む。

  • アース・デモクラシーは、平和と配慮と共感をグローバル化する。

(「アース・デモクラシー-地球と生命の多様性に根差した民主主義」山本規雄訳・明石書店による)

私たちが生きる地球、その地球を中心に据えてこそ地球は成り立つのであり、地球を破壊する現代文明の行為は根本から見直されなければならい、そうでなければ今、科学者が警告している地球規模での気候変動は温暖化から氷河期へと進み続けるように思われる。

私たちは「地球」という大いなる生態系の「一部」であること、人間が傲慢且つ無責任に地球や生態系の修復方法を知らずに破壊し続けることで、明らかに自らの首を絞めていることを自覚する必要がある事、地球民主主義は人間中心ではなく、地球に存在する生命全ての民主主義であること。「人間」という地球に存在する「一生命」として真摯に己のなすことを振り返り、「地球生態系の一部」としての自覚を持つ必要性を示唆するような原則だ。

淀みなく、ゆるぎなく、ヴァンダナは確信をもってそれをアピールしているように感じた。

午後の「循環するベランダ菜園」では、都会における住居の60%以上を占める集合住宅の開口部であるベランダで「循環する菜園づくり」を通して、都会でも「いのち」のつながりを実感することができるような暮らしを実現する講座が開かれた。

講師は末木 秀和氏。全国に600名以上の会員を持つ「たねびと」の管理人でもある。シティー・ファーマーを増やし交流を図ること、植物・微生物・土との関係性を知ること、循環型の持続可能な心地よい暮らしを分かち合う、相互扶助の暮らし方への誘いでもある。

アーバン・ファーミングやシティ・ファーミングは既にアメリカ、カナダ、ヨーロッパでは取り組みが盛んで、都会のど真ん中で循環型のエコな地産地消の仕組みが根付きだしている。また、都会のアパートの中で野菜の自給を図る、ウィンドウ・ファーマーやハイドロニック・カルチャーなども盛んだ。ちょっとgoogleしてみると、たくさん動画が上がってくる。

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最近は袋に入った土が売られているが、自然界の「土」に目を向けることで、何が大事なのかを見直す。自然界の土は耕すことはないが栄養豊かである。その豊かな土が育つ環境には、植物の根、ミミズなどの生物、微生物(カビ・細菌)などが働いており、土の中は正に生物多様性の世界であることが分かる。

循環するベランダ菜園では、土は捨てることをしない。土を育てるのだ。しかも家から出たものを使う。米のとぎ汁やぬか、牛乳でもいい。わざわざ石油から作った化学肥料を投入する必要はないのだ。小さな生物や無数の微生物たちが活発に活動する「生きている土」をつくっていく。健康な土から健康な野菜が生まれていく。その循環の起点として土作りは重要だ。

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講師の末木氏は自然界の仕組みに合わせた自然農に携わることで、何も敵としない、全てを包括する世界観を会得したようだ。それは植物の育て方に留まらず、自身の在り方や立ち位置にも影響を及ぼしている。

ベランダ菜園を始めるのに、「全てを買いそろえるのではなく、自分の生活の中にあるものを使って下さい」と生活の中で循環する菜園を目指す。消費に乗っかるのではなく、無駄をつくらないのだ。

末木氏が管理人をしているグループに「たねびとの会」がある。そこで行っているプロジェクトの一つに、りんご木箱を再利用するアーバン・ファーミング ”アップサイクル・プロジェクト”がある。

大田市場内に投棄されている『りんごの木箱』『パレット』などを再利用し、廃棄処分するのではなく、新たに活用する地球にやさしい活動だ。りんごの木箱は職人が作っている。買えば2,000円もするそうだ。それがゴミとして処分されるのはもったいない! 菜園BoxやコンポストBoxなど最終的には土に還るような地球にやさしい使い方を実践中だ。

講座では土作り、種の撒き方、苗の植え方、収穫、種とりの方法まで「種の循環」が一巡する実践的内容だった。最後のワークショップではユニークなグループ名を持つ4つのグループで「循環するベランダ菜園」をデザインした。

雨水タンクやコンポストの他、コンパニオン・プランツの組み合せ、日照を上手く取り込む仕組み、高さを利用し四季折々の多品種栽培、そして菜園を楽しみ寛げるスペースを設けるなど、労を凝らすだけでなく、リラックスすることも大事にする。それはヨガのように交感神経と副交感神経の両方を使う、緊張と弛緩の両方があるから「健康」でいられるような気がする。

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このイベントは単発ものではなく、ベランダ菜園に興味があったり、始めてみたい人が実際始める時に出会う「どうしよう」「わからない」に応えるグループサイトも用意している。

早速「○○を植えたいです!」というようなコメントが飛び交い、画像も含むわかりやすい回答が提供されている。「循環するベランダ菜園」はあちらこちらで発進し始めている。

文:内園かおり


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